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リスク寄与度を均一にする「リスク・パリティ・ポートフォリオ」

最近の状況ですが、横ばいが続いており、可もなく、不可もなくといった感じです。 債券価格が下がって、金利は上がる!なんて記事を何度も書いてきましたが、どうもそのような気配はありません。 でも、今のような低金利が続く状況をおかしいと思っていることに変わりはありません。 引き続き、債券ベア投信を買い続けていく所存です。 ----- さて、今日は、リスク・パリティ・ポートフォリオを考えてみようと思います。 ポートフォリオのリスクは、複数の資産がもつボラティリティ(標準偏差)とそれぞれの共分散と各資産の組入比率から算出されます。 このポートフォリオのリスクが最小になる構成比率で組み合わされたポートフォリオを「最小分散ポートフォリオ」と言います。 一方、「リスク・パリティ・ポートフォリオ」は、各資産のポートフォリオに対するリスク寄与度が均等になる構成比率で組み合わされたポートフォリオを刺します。 「リスク・パリティ・ポートフォリオ」については、こちらのブログで何度も説明されており、前から気になっていました。 Masaoの「ハーバード流投資術」-資産運用をアツくしよう! http://masaolog.com/ すごく簡単なレポートがありました。 An Introduction to Risk Parity - Hossein Kazemi http://people.umass.edu/~kazemi/An%20Introduction%20to%20Risk%20Parity.pdf レポートでは、 資産Aのリスク寄与度 を算出するには、以下の式で、ということです。 資産Aの組入比率 × [{(資産Aの組入比率 × 資産Aの標準偏差の2乗) + (資産Bの組み入れ比率 × 資産Aと資産Bの共分散)} ÷ ポートフォリオの標準偏差] 資産Bについてもリスク寄与度を算出し、それぞれのリスク寄与度が均等になった組入比率で作成したポートフォリオが「リスク・パリティ・ポートフォリオ」となります。 レポートでは、「Barclay Capital Global Bond Index」と「MSCI World Equity Index」を使った「リスク・パリティ・ポートフォリオ」を例として出しています。 このレポートの結

バンガード・トータル・ワールド・ストック・インデックスETF(VT)でリスクコントロールポートフォリオを作る。

MAXIS トピックスリスクコントロール(5%)上場投信(ETF)の愛称が「NISA向けリスコン5」とかなんだかイケていないものになったことを記念して、リスクコントロールポートフォリオについて考えてみます。実はこのリスクコントロールインデックスの算出式は公開されており、個人のポートフォリオでもコピーすることが可能です。

TOPIX リスクコントロール指数の算出要領
http://www.tse.or.jp/market/topix/b7gje600000054ed-att/j-riskyoryo_v2.pdf

今回は、このリスクコントロールインデックスの考え方を拝借して、個人投資家のポートフォリオに適用する方法を考えてみました。インデックス投資家の間で人気の海外(米国)ETF、Vanguard Total World Stock インデックスファンド、いわゆるVTと現預金のみを使ったリスクコントロールポートフォリオを考えてみることにします。前提として、今回のリスクコントロールポートフォリオのVT組み入れ比率算出には、TOPIXリスクコントロールインデックスと同様「過去100営業日のデータを利用した、252日換算の標準偏差」を利用します。

■リスクコントロールVTインデックスの算出
まず、値動きを見るために、リスクコントロールインデックスを算出してみましょう。VTのリスクコントロールインデックスの算出手順は以下の通りです。
  1. VTのヒストリカルボラティリティを算出
  2. 目標ボラティリティ(5%)とヒストリカルボラティリティからVT/現預金比率を算出
  3. 組入比率からインデックスを算出

1. VTのヒストリカルボラティリティを算出
ヒストリカルボラティリティを出すには、時系列データが必要になります。Google FinanceのHistorical PricesあたりからExcelに張り付けて利用するのが手軽でしょう。

Vanguard Total World Stock Idx Fd (ETF)(NYSEARCA:VT)200日分
https://www.google.com/finance/historical?cid=4177166&num=200

時系列データの準備ができたら、実際に計算していきます。

日々のリターンの分散の直近100日間の平均を算出し、252営業日換算の標準偏差とします。なお、ここからは、あまり自信がないので、ぜひ上記リンクのPDFを参照しながら計算してみてください。

1-a. 100日間の分散(PDF中のVariance(t))を算出する
日々の変動率の自然対数(LN)をパーセントに直し、さらに2乗したものを直近100日間分合算し、100で割ります。PDF中のVariance(t)を算出します。数値の意味としては、100日間の日次リターンの分散の平均値でしょうか。

T・・・当日
Variance(t) = 1/100 * (LN(T-0日の終値/T-1日の終値)*100)^2 + (LN(T-1日の終値/T-2日の終値)*100)^2 + (LN(T-2日の終値/T-3日の終値)*100)^2・・・ + (LN(T-99日の終値/T-100日の終値)*100)^2


1-b. 平均分散から252日換算の標準偏差(PDF中のRealized Volatility(t))を算出する
このRealized Volatility(t)がヒストリカルボラティリティになります。単位は%で表記します。

Realized Volatility(t) = sqrt(252*Variance(t))
私が算出したVTのヒストリカルボラティリティは、2012年11月後半あたりから2013年4月前半で、最大値が14.3%、最小値が10.9%程度となりました。ドル建てのままですので、為替変動は考慮していませんが、思いのほかボラティリティは小さいようですね。

2. 目標ボラティリティ(5%)とヒストリカルボラティリティからVT/現預金比率を算出
次に目標ボラティリティを決めます。この目標ボラティリティは、「MAXIS トピックスリスクコントロール(5%)上場投信(ETF)」であれば5%、「MAXIS トピックスリスクコントロール(10%)上場投信(ETF)」であれば10%ということになります。基本的には、VTのみのポートフォリオではリスクが大きすぎると考える投資家の為の手法ですので、ヒストリカルボラティリティよりも低い数字を目標ボラティリティに設定するのが一般的です。

今回は、リスクコントロールの効果がわかりやすいよう、かなり低めの5%を目標ボラティリティとしてみます。また、VT単独のヒストリカルボラティリティが5%を下回る場合には、ポートフォリオ金額の100%をVTの組み入れ比率とし、100%を超える組入は行わないことにします。

組み入れ比率の算出は簡単です。

VT組入比率 = MIN(1,目標ボラティリティ ÷ 3日前のヒストリカルボラティリティ)

VTの組入比率は目標ボラティリティ ÷ ヒストリカルボラティリティで算出できます。また、VTの最大組入比率は100%、つまり1です。今回の場合、「目標ボラティリティ5%÷ヒストリカルボラティリティ」と「1」で小さい方を選択するだけでいいわけです。組入比率算出用に3日前のヒストリカルボラティリティを使っているのは、TOPIXリスクコントロールインデックスの算出に習っています。

PDF中:Realized Volatility(t-d) TOPIX リスクコントロール指数においてはd=3。

3.組入比率からインデックスを算出
PDFでは、現金部分のリターンも算出していますが、今回は、リターン全体への影響が小さいこと、計算式の簡素化のため、現金部分のリターンはゼロと仮定しました。

当日のリスクコントロールインデックスの値 = Risk Control Excess Return Index Value (t-1) * (1+Risk Control Index Excess Return(t))
Risk Control Excess Return Index Value (t-1)・・・前日のリスクコントロールインデックスの値
Risk Control Index Excess Return(t)・・・前日のVT組入比率で投資した場合の当日リターン


これでVTのリスクコントロールインデックス5%が算出できました。

VTの株価と相関を保ちながらも変動幅が小さくなっていることがわかります。上記の方法で算出したVTリスクコントロールインデックス自体のヒストリカルボラティリティを算出したところ、4.93%となりました。リスクコントロールの効果が出ています。

■VTでリスクコントロールポートフォリオを運用する
このようにして算出したリスクコントロールポートフォリオですが、常に変動するVTの組み入れ比率を厳密に守ろうとすると、リバランスのための売買手数料がかかるため、毎日売買するわけにもいきません。今回サンプルに使ったデータでは、VTと現預金のみで構成されるポートフォリオで5%のボラティリティを実現するには35~45%程度のVT組入比率となりました。短期間のデータで算出したため、信頼性には欠けますが、当初組入比率を40%で投資しておいて、5%以上変動したらリバランスするくらいで十分かもしれませんね。

Interactive Brokersであれば、1株あたり0.005USDですので、200株で1USDと、SBIや楽天証券と比べると格段に安く済ませることができますので、こういった証券会社を利用することも大切なポイントです。この証券会社の面白いところは、APIを公開していて、プログラムによる売買も可能になっているところです。今回のように機械的に売買するポートフォリオであれば、自動化してしまうのもいいかもしれません。

■まとめ
MAXIS トピックスリスクコントロール(5%)上場投信(ETF)をNISAの愛称が「NISA向けリスコン5」になったことを記念して?、リスクコントロールポートフォリオを検討してみました。しかもインデックス投資家に人気のVTで。やってみた結果は、なんというか、「まぁそうなるよね」的なものになってしまいましたが、個人的には楽しかったです。

ただ、VTのような充分に分散され、ボラティリティが小さいファンドだとメリットは小さい気がします。新興国や小型株のインデックスファンドのようにある程度ボラティリティが大きいファンドをリスクコントロールで運用する方が効果的かもしれません。1銘柄だけで構成される株式ポートフォリオでやってみるのも面白いかもしれません。

今回試したようなコンセプトは、ツールにすぎませんが、こういったコンセプトをたくさん集めて、常にポートフォリオ構築のアイデアを考えるのも投資の面白さだと思いました。

引き続き応援おねがいします。

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